吉本隆明『ひきこもれ』感想|ステイホームは生きる知恵

BOOK

コロナ禍で「ステイホーム」「巣ごもり」を推奨する世の中になり、人との分断が叫ばれるからこそ、人とのつながりを大事にしようと言われています。

人との分断があたかも悪いもののように言われることが多いですが、本当にそうでしょうか。

人と分断して自分と対話する時間が増えることで見えたこと・得たことが誰にも多少はあったのではないかと私は考えます。

『ひきこもれ』はこんな人にお勧め

✔ SNSなどのつながりに疲れている人

✔ 生きにくさを感じる繊細な人

✔ コロナ禍を一生懸命に生きる全ての人

著者

作者は吉本隆明さん。

1924年東京生まれの詩人・評論家です。(故人)

作家のよしもとばななさんのお父様です。

この本を手に取った理由

2020年9月に新装版として文庫で復刊されており、書店で手に取りました。

新刊?と思ったのですが、もともと2002年12月に出版されています。

内容を読んで復刊された理由がすごくよくわかりました。

その理由は後に説明していきたいと思います。

あらすじ

『ひきこもり』は悪いものでも問題でも病気でもない

そのことを吉本さんの目線を通じて書かれています。

「ひきこもること」=「一人ですごす時間」が自分の価値を生み出す。

なんといってもご自身がひきこもりの傾向があったと告白。

その他にも「子どもが何に苦しんでひきこもりになるのか」

「自殺とは親の代理死だ」

「死ぬときには『死』は自分のものではなくなっている」

など、衝撃的な内容ですが、やさしくわかりやすい文章で書かれています。

お勧めポイント

「ひきこもり」は自分の中の「無駄」をそぎ落とす洗剤みたいなもの

「ひきこもり」というと良くない、矯正すべきもの、マイナスなものというイメージが一般的にあると思います。

私自身もいいイメージは持っていませんでした。

しかし本当にそうでしょうか。

本書では

ひきこもりも不登校も病的な状態ではない

『引きこもれ』より引用

と書かれています。

つまり、ひきこもりとは善悪で図るものではないということです。

コロナ禍で強く思うのが、行動範囲が強制的に制限されたことにより、今までいかに無駄なつきあいに気を遣い、無駄なお金を使い、無駄なエネルギーを使っていたか

「ひきこもり」はそういったもの全てそぎ落とす洗剤みたいなものではないかと。

人とのつながりそのものを否定するわけでは決してありません。

しかしSNSのフォロワー数など「大人数の人とつながっていること」=「その人の価値」とでも言わんばかりの昨今、いかに自分が自分とつながっているか、いかに自分の目線で自分を見れているかを確認するためにひきこもる時間が必要なのではないかと考えます。

吉本さんは既に故人ですが、コロナ禍をもし生きておられたら、今の「ステイホーム」における人との分断についても

「だから前から言ってますよ」

って言われるのではないかと思ってしまいます。

「生きにくい」「暗い」「社交的でない」ことは、「社会不適合」とは別

この本の中には下記の一文があります。

一般社会と自分を区切らない方がいい

『引きこもれ』本文より引用

いまの学校制度は確かによくないけれども、その制度の中にいて、自分の中の違和感を大事にしていくほうがいいと思います。

『引きこもれ』本文より引用

これを読んで思い出したのが、フォトグラファーの古性のちさんがnoteに書かれている文章でした。

古性さんはいわゆるHSPであることを表に出しておられます。

HSPはハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)の略で「視覚や聴覚などの感覚が敏感で、非常に感受性が豊かといった特徴を生得的に持っている人間」のことを指しています。

「ひきこもりや不登校は病的なものではない」のと同じで、HSPはその人の性質の一つであり、病気を指すものではありません。

吉本さん自身がおっしゃってるひきこもりがHSPと同じ意味だということではありませんが、この古性さんの文章の中で、フォトグラファーになったことを

なぜそういう生き方を選んだのかをたくさん聞かれたけれど、選んだのではなくて、できないことを排除していったらこうなっただけなんです。

note「どうも随分生きづらいと思ったらHSPだった | 古性のち」より引用

とおっしゃっています。

それは「自分を一般社会から区切らず、自分の持つ違和感を大事にして生きていく方がいい」と言われていることとすごくシンクロしていると感じました。

ひきこもることで社会生活や職業生活が出来ないのではなく、いろんな人の中で(ひきこもりの)自分が生きていくことによって、自分の違和感も自分自身も大事にできると思います。

この本を書かれた時点でHSPという言葉はまだ市民権を得ていないことを考えると、やはり吉本さんの主張は10年も20年も先をいっていたんだなと思わざるを得ないですね。

まとめ

『ひきこもり』≠「悪いこと」「病気」「矯正すべきこと」

「ひきこもり」(あくまでも治療行為が必要ではないもの)の傾向のある人は、そういった元からもっているものを無理やり変える必要はないし、なにより自分が自分と精一杯対話する時間、自分を見つめる時間が必要だとおっしゃっています。

ただ、ひきこもってはいても閉じていてはいけないということも付け加えておられます。

自分や自分と同じ境遇の人との世界に閉じこもるのではなく、社会の中で自分の違いを大事にしていくことが「自分を大事にする」こと、自分らしく生きられることにつながるのではないでしょうか。

『ひきこもれ』はこんな人にお勧め

✔ SNSなどのつながりに疲れている人

✔ 生きにくさを感じる繊細な人

✔ コロナ禍を一生懸命に生きる全ての人

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