塩見三省『歌うように伝えたい』感想

レビュー
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災害や病気、その他の理由で当たり前の毎日を突然過ごせなくなることが人生にはあります。
俳優、塩見三省さんは2014年に病気で半身不随となりました。
そのことを塩見さんは星野源さんのひとことをきっかけに文章にすることにしたそうです。
それが今回紹介する『歌うように伝えたい』です。

この本を手に取ったきっかけ

『アウトレイジ』シリーズ、『あまちゃん』その他数ある作品に出演されていた俳優・塩見三省さん。
塩見さんのファンになったのは、とあるバラエティー番組がきっかけでした。
『アウトレイジ』のイメージが強くて、いわゆる「コワモテ」俳優さんだと思っていたのですが、そのバラエティー番組でにこにこ笑ってる姿に「ギャップ萌え」したのです。

しかし、その後すっかりお見掛けする頻度が少なくなってしまったと思っていました。
すると闘病生活を送っておられたことを知ることに。
発症の事、入院中・リハビリ、その後の俳優復帰のことなどを本書に書かれていると知り手に取りました。

『歌うように伝えたい』はこんな人におすすめ

『歌うように伝えたい』はこんな人におすすめ

✔ 人生の中断から復活した人・その渦中の人

著者

塩見三省さん。俳優。
1948年1月 京都府生まれ。
1978年に演劇集団「円」に入団。
1980年からはテレビドラマ、1990年代からは映画にも活動の場を広げる。

2014年3月に脳出血で倒れる。懸命なリハビリにより2016年2月に復帰。
本書では、病気になる前のことから闘病生活、復帰後のことを綴っている。

おすすめポイント

人生を中断される前後を丁寧に振り返る素朴でまっすぐな文章

本書は病気をきっかけに人生を「中断」された著者が、幼少期・演劇にとりくむ青年期・映画やテレビで活躍をする頃・発病・闘病生活・復帰後を丁寧に振り返っている一冊です。
半身不随となり、発症前よりも出来なくなったことも多くなった著者が同様に大病を患った経験のある星野源さんのひとことをきっかけに文章を書くことをはじめました。

星野源さん自身は書くことで病気になったことを俯瞰的に見て、乗り越えることが出来たそうです。
自分よりも随分年の若い方のそういった言葉に素直に耳を傾け、また実行される著者はとても素敵だと思いました。

また本書は自身の半生だけでなく、その人生で出会った恩人・影響を受けた人々に対する感謝やエピソードを述べているのも印象的でした。


特に著者が若い頃からお世話になっていた女優・岸田今日子さんが亡くなられたときのお話はそこまで尊敬してついていける人がいることに羨ましさも感じたほどです。
全体を通して淡々とした文章が続く中、行動から見え隠れする著者の感情が見えたのも、このエピソード。

闘病生活以降は、前向きな気持ちや強い気持ちでいられたときばかりでもなかったそうです。
そんなことも素直に文章にされているのを読んでいると不思議と心に迫るものがありました
「がんばれ」とも「前向きに」とも書かれていないのです。
ただ著者・塩見さんに起きた出来事とそのときの行動が記されているだけなのに、何か元気づけられるのはきっとその言葉に嘘がないからではないでしょうか。

まとめ

『歌うように伝えたい』はこんな人におすすめ

✔ 人生の中断から復活した人・その渦中の人

いかがでしたでしょうか。
気になった方はぜひお手に取ってみてくださいね。

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